『私の男』桜庭一樹

父と娘の関係は、ともすると危うい。彼らだけに関わらず、どこかしら、十人十色の関係が、全て何かにカテゴライズされるのだとしたら、1組くらい、そういうものがあってもおかしくはない、というような。血が繋がっていればこそ、尚更。
私の家も父子家庭なので、分からないではない、その緊張感。ファザコンも度が行き過ぎると、って感じ。うちは、そういうレベルではないんだけれど。読んでて奇妙な苦しみ。私はここにははまらない、もしくは、あてはまらないという強い決意を持って読んでいかなきゃいけないくらい。
ここまで強くは思えない。でも、私に弟がいなかったら。その精神的な依存は、どこへ向かったのだろうかと激しく恐怖に打ち震えた。その精神的な依存は、何に変化したのだろうか。小さい時からの憧憬(思慕とどう違うのだろう)、男を選ぶ基準、親として、人間として。私が男と言う性別の中で、誰を一番考えているかというと、父だから。
と、色々考えてしまう、『私の男』。今更読んで面白い!とは、遅れてる。

私の男 (文春文庫)

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